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比較推奨販売(推奨販売)とは?乗合代理店が押さえるべき義務と実務対応

2026-06-09

「複数の保険商品を比較し、顧客の意向に沿って商品を選別・推奨しなければならない」——乗合代理店には保険業法上の比較推奨販売義務があります。さらに2025年成立の改正保険業法(本体は2026年6月1日施行)に伴う施行規則の見直しで、従来のハ方式を廃止し、ロ方式へ一本化する方向が示されています(比較推奨販売部分の施行日は金融庁が別途公表予定)。「イ・ロ・ハ方式とは何か」「推奨理由をどう記録するか」など、実務上の疑問も多いはずです。

1. 比較推奨販売とは?定義と背景

比較推奨販売とは、乗合代理店が複数の保険会社の商品を取り扱う際に、複数商品を比較して説明する、または顧客の意向に沿って商品を選別したうえで提示・推奨する募集形態のことです。

この規制は、乗合代理店が手数料収入や保険会社からの便宜供与(保険会社が代理店に提供する経済的な便益)を優先して顧客に不利な商品を推奨することを防ぐためのものです。保険業法・同施行規則および監督指針で定められており、前述の改正保険業法と、これに伴う施行規則・監督指針の見直しによって、さらに強化される見込みです。

2. 比較推奨販売義務の対象と内容

対象

二以上の保険会社と委託契約を結んでいる乗合代理店が対象です。専属代理店(一社のみ)は対象外です。

義務の内容

  • 比較・選別の義務:顧客の意向に沿って、比較可能な同種商品を比較・選別する
  • 説明の義務:商品の概要を説明する。さらにロ方式(絞り込み推奨)の場合は、選んだ理由(推奨理由)を客観的な基準で説明する
  • 記録の義務:体制整備義務の一環として、比較・推奨の内容と理由を記録し、保存する

比較・説明する内容

  • 補償内容・保障内容(顧客の意向に合致しているか)
  • 保険料水準
  • その他顧客が重視する事項

3. 乗合代理店のイ・ロ・ハ方式とは?

比較推奨販売の方法は、保険業法施行規則第227条の2第3項第4号に基づき、通称「イ・ロ・ハ方式」として整理されてきました。2025年成立の改正に伴う施行規則の改正案では、このうちハ方式に相当する取扱いを削除し、イ方式・ロ方式の2類型へ整理する方向が示されています(施行日は金融庁が別途公表予定)。

方式 内容 改正案での扱い(施行日は別途公表予定)
イ方式(比較説明) 取り扱う複数商品の契約内容を比較して説明する方法。特定商品の推奨はせず、最終判断は顧客に委ねる(比較事項を偏りなく説明する義務がある) 継続
ロ方式(絞り込み推奨) 顧客の意向に沿って、比較可能な同種商品の中から商品を選別・推奨する方法。比較可能な同種商品の概要と、客観的な基準・理由に基づく推奨理由の説明が必要 継続(実務の中心に)
ハ方式 客観的な基準・理由によらず、代理店独自の理由(特定の保険会社との資本関係・経営方針・事務手続上の理由等)で商品を絞り込み推奨する方法。従来は理由の開示のみで足りていた 廃止(ロ方式へ一本化)

従来は多くの代理店がハ方式を採用していましたが、顧客の適切な商品選択を阻害し得るとして問題視され、改正により廃止される方向です。今後は顧客の意向に基づくロ方式が実務の中心となり、推奨理由を客観的な基準で説明・記録できる体制づくりが求められます。

4. 推奨理由の記録義務と実務対応

比較推奨販売(特にロ方式)では、なぜその商品を推奨したか(推奨理由)の記録が重要です。

推奨理由に記録すべき内容

  • 顧客の意向・ニーズ(何を重視したか)
  • 比較検討した保険会社・商品名
  • 推奨商品を選んだ客観的な理由(補償内容・保険料水準・その他の観点)
  • 他社商品と比較した際の差異・優位点

記録のタイミング

推奨理由の記録は、顧客への提案時または契約締結前に作成します。後付けで作成すると、行政検査・保険会社監査時に「実際の提案と記録が一致していない」と判断されるリスクがあります。

5. 比較推奨販売義務に違反した場合のリスク

  • 行政処分:業務改善命令・業務停止命令の対象となりうる
  • 保険会社の監査での指摘:比較推奨記録が不備の場合、代理店監査で指摘を受ける
  • 手数料ランク低下:業務品質評価での減点が手数料率に影響する場合がある
  • 顧客トラブル:「代理店都合の商品に誘導された」と顧客から苦情が出るリスク

6. 2025年成立の改正での変化

2025年に成立した改正保険業法(本体は2026年6月1日施行)と、これに伴う施行規則・監督指針の見直しにより、比較推奨販売のルールは以下の点で強化されます。ただし、比較推奨販売(情報提供に係る規定)に関する施行規則の改正は金融庁が別途公表する予定とされており、この部分(ハ方式の廃止等)の施行日は保険業法本体とは別に定められます。最新の施行時期・経過措置は金融庁の公表をご確認ください。

  • ハ方式の廃止・ロ方式への一本化:代理店独自の理由による商品選別(ハ方式)が認められなくなる方向で、顧客の意向に沿った絞り込み推奨(ロ方式)が基本となる見込み
  • 体制整備義務の明確化:提示・推奨の基準や理由を社内規則に定め、記録・証跡を保存し、実施状況を確認・検証するPDCA(計画・実行・評価・改善)体制の構築が求められる
  • 便宜供与に関する規制強化:保険会社から代理店への過度な便宜供与が規制対象に拡充される

7. 比較推奨販売を適切に行うための仕組み

比較・推奨プロセスの標準化

担当者によって比較の観点がバラつかないよう、比較・推奨の判断基準を標準化したフォームを整備してください。新人募集人でも一定水準のロ方式対応ができる仕組みが必要です。

電子記録・保管システムの活用

推奨理由記録を紙で管理していると、保険会社監査・行政検査の際に迅速に提出できません。代理店向けCRM(MCエキスパートクラウドなど)で意向把握から商品絞り込み・推奨理由の記録までを電子的に完結させることで、検索・提出に即座に対応できます。

定期的な内部チェック

募集人の比較推奨販売の記録を管理者が定期的にサンプルチェックし、不備を早期発見・是正する体制を作っておきましょう。

まとめ

比較推奨販売義務は、乗合代理店が複数の保険会社商品を取り扱う上で避けられない法的義務です。2025年成立の改正保険業法(本体は2026年6月1日施行)に伴う施行規則の見直しで、ハ方式の廃止・ロ方式への一本化が予定されており(比較推奨販売部分の施行日は別途公表予定)、顧客の意向に基づくロ方式が実務の中心となります。意向把握から商品の絞り込み・推奨理由の記録までを仕組みとして整備しておくことが重要です。

MCエキスパートクラウドは、比較推奨販売(ロ方式)の記録・管理を電子化し、推奨理由の証跡を記録として残せるシステムを提供しています。詳細はお問い合わせください。

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